花卉農家の救済を邪魔しといて「ありがたい」って?
札幌市農政の回答文書は理解不能
地域の農業振興を図るため「引き続き」支援する?
11月9日の札幌市農政との協議後、12月26日付けで質問事項への回答文書が手稲前田地区連合地主会の事務局長宛てに送られてきた。
この地区は農振法に定める10ヘクタール以上の集団的農地に該当するので、今後も農用地区域に指定する。農業振興を図っていく地域なので、地域農業者が行う各種補助制度の利用、麦などの戦略作物の導入、担い手の参入による農地の集積等の取り組みに「引き続き」支援していくそうだ。
農振地域と言いながら、後継者がいる農家は一戸だけ。土地利用に縛りがあるため青息吐息で農業を続けてきた仲間も加齢で意欲が減退し、耕作放棄地は増える一方…。そんな現状を伝えたにも関わらず、札幌市は「引き続き」支援をしていくというが、そもそも真っ当な支援を受けた例を聞いたことがないから、バカにするなという話だ。
違反者の息子は農地を買えないって、江戸時代か?
協議の場では、私の息子が経営破綻した地域の花卉農家を救済しようとしたところ、札幌市農業委員会に邪魔された件についても追及した。
かいつまんで経緯を説明すると、地元の花卉農家が農地やビニールハウスを競売に出されたのは平成24年7月下旬のこと。コンクールで農林水産大臣賞に2回輝くなど花づくりの腕前は一流でも、経営者としてはどうかと考えた私は、息子が経営者となり知己の花卉農家には「家庭教師」として栽培現場でのみ腕を振るってもらうことを考えた。
花卉農場の近くには道立養護学校もあるし、卒業生を雇用したり生徒にアルバイトに来てもらえば保護者にも喜んでもらえるだろうし、地域の活性化につながるかもしれない。
私の息子は札幌市と石狩市に農地を所有しており、石狩市では農業者証明も取得している。何の問題もないだろうと札幌地裁に入金し、息子が札幌市農委で入札に必要な証明書を出してもらおうとしたところ、親の私が農地法違反者だという理由で拒否された。入札日まで時間がなかったため、地元地主会の会長に代理で落札してもらい、当初の計画とは変わったが花卉農家の娘さんが営農に前向きだというので跡を継いでもらうことになった。
写真=競売に出されたビニールハウス。私の息子が落札していれば花卉農家には「家庭教師」として活躍してもらい、養護学校の卒業生を雇用するなどして地域活性化につなげられたかもしれない。
不渡り札幌市農政の日本語は分からないよ
12月26日付けの回答文書によれば、競売に参加する際に必要な買受適格証明を交付する可否判定にあたって、農地法の許可基準を用いた結果、申請人(息子)の世帯員に違反転用者(農地法第51条第1項第1号)がいたので不交付にしたとのことだった。
違反転用者とは、言うまでもなく私だ。11月9日の協議の場でも「違反をしたから息子が農業をするのもダメって、江戸時代じゃないんだから」と噛み付いたが、それが市農委にとって法の適正な運用らしい。「悪法も法なり」という言葉があるが、そんなものを私は認めない。
すったもんだの末、花卉農場はそこの娘さんが継ぐことになったが、新規就農者として娘さんを地域に招いたのが、実質的に私であることは市農委も知っているはず。
それで、花卉農家の娘さんを地域に招いたことをどう考えるのか協議の場で質したのだが、回答文では「新規就農者が増えること、地域として受け入れる支援をしていただいたことはありがたいことだと思っております」。
時間的な猶予のない競売の邪魔しておいて、一方で「ありがたい」とはどういうことなのか。不渡り農政の使う日本語は理解不能だと思い知らされた一件だった。
写真=違反者の息子は農地を買えないって、犯罪者の子供は犯罪者ってことか? 農地法は江戸時代から続いているのかな。