農民イジメの「農振地域整備計画」って何だ?
ずっと反対してるのに「引き続きご理解とご協力を」だって
またも地域が反対する「農振の指定継続」が
道庁から何の音沙汰もないため寂しい思いをしていた頃、札幌市農政課から平成29年6月6日付けで「農振農用地区域に関する今後の指定について(指定継続のお知らせ)」なる文書が届いた。
宛先は「農用地区域指定土地使用者様」となっているので、地域に農地を所有する個人・法人に漏れなく発送されたものと思われる。
その中身と言えば、「貴方の所有されている土地のうち、現在、農用地区域として指定されている土地については「継続指定」する予定ですので、同封しました資料『札幌農業振興地域整備計画 第6回全体見直しについて』他の内容をご覧いただき、引き続き農地の保全についてご理解とご協力をお願い申し上げます。(今回は継続のお知らせですので、書類の提出等の作業はございません。)」というもの。
なんでも、平成29年1月に「第2次さっぽろ都市農業ビジョン」を受けて全体見直しを進めており、案の縦覧を経て12月頃の決定を目指しているとのことだ。
かけがえのない農地を傷つけたのは誰だって!
資料を見れば、農用地区域とは「かけがえのない大切な農地をゾーンとして守り育てるため、農振法第10条第3項の要件に基づき設定」するそうだ。かけがえのない農地なら、どうして酪農団地を誘致して私の芝畑を傷つけ営農を断念させたのか。
そもそも、同条項にある「10ha以上のまとまった土地」とは、札幌市が地域の反対を押し切って農振の網をかけたため、地権者の意に反して使い途のない土地がまとまって残ったに過ぎない。札幌市に農地を守り育ててもらったことなど1度もないし、10ha以上の耕作放棄地があるのは農振農用地に指定された“結果”であって地域住民の意思ではないのだから、何ともバカにした話だ。
同条項の「生産性を向上させるために行った事業の対象地」には、約1億円もの血税が投入された酪農団地(1戸だけだが)しか該当しないが、ここもすでに廃業し札幌市農政の“負の遺産”としてサイロなどが無惨な姿を晒している。
写真=資材置き場や倉庫、耕作放棄地だらけとなった手稲前田地区で、酪農団地(右奥)のサイロはかつて酪農地帯だったことを伝える歴史遺産となっている。
ダメ元でも地域有志で「継続反対」を
札幌市農政課の文書には「今回は継続のお知らせですので、書類の提出等の作業はございません」とあるが、これは「規則だから知らせるけど、農民風情がゴチャゴチャ言っても農振はかけるからね」と言っているようなものだ。
昭和49年に農振の網をかけられて以来、これまで計画見直しのたびに指定継続に反対してきたが、すべて黙殺されてきた。だが、だからといって何もしないわけにはいかない。
手稲前田地区連合地主会の役員らに意見を聞くと「継続反対」で一致したので、地域の土地所有者のうち20名の反対署名を急遽集め、札幌市農政課に対して指定継続に異議を表明するとともに、地域の意に反して指定する理由などを質すため住民説明会の開催を要望することにした。
何だかんだと理由を付けて、あるいは理由もなしに札幌市農政課は拒むだろうと思いきや、窓口となった連合地主会の事務局長宛てに数日後には連絡があり開催に応じるという。
少しは態度を改める気になったのかとも思ったが、油断は禁物と気を引き締めたのだった。