農業体験コンテナハウス、始動!
農地に戻すんだから、支援するのは当たり前でしょ?
そもそもは雪堆積場の現場事務所用だったが。
昨年(平成28年)の夏前から、私が所有するコンテナハウスに対して、札幌市農業委員会事務局があれこれ口出しをしてくる。
そもそもは昨春、私の息子の会社が関わっている雪堆積場の現場事務所に使えないかと、中古の海上コンテナを購入したことがきっかけだった。
厳寒下での雪堆積場の管理業務は想像以上に過酷だ。現場事務所は作業員の休憩や仮眠にも使われるが、プレハブハウスだと気密性が低いため暖まるのに時間がかかり、雪を満載した大型ダンプの振動や騒音もまともに伝わってしまう。そこで、蓄熱性や遮音性の高いトレーラー用のコンテナを使ってきたが、少々手狭なのが難点だった。より広く、さらに堅牢なつくりの海上コンテナなら性能もアップするはずで、設置や撤去の手間はそれほど変わらない。
どういう間取りだと使い勝手が良く、暖房効率などの機能面でも優れているのか。コストや性能の面からトレーラーコンテナと入れ替えるだけの価値があるのか実験しようと、自宅の建設予定地だった元農地の一画にコンテナを仮置きして連結などの改造を開始した。
写真=改造に着手した頃のコンテナハウス。現場事務所として使う予定だったので、外装には手を入れていなかった。
過去の非を認めて計画に協力するのが筋だけど。
内装工事を頼んだ業者によると、市農委は早い段階から現地に立ち寄って敷地外からボンヤリ眺めていたらしい。
6月22日付けで市農委事務局は、「農地転用の許可が必要となる場合も考えられることから、コンテナを置いている事情や計画等をお聞きしたい」という内容の手紙を寄越した。
何でも門前払いの姿勢から一転して、農地転用を申請すれば許可するような文面だったので、コンテナハウスの新たな用途を考えて返事を出すことにした。
それにしても、市農委事務局の手紙にあった「これまで何度か当該地に伺いましたが、お会いすることができませんでした」は余計だ。暇人でもあるまいし、工事中のコンテナに張り付いているわけがない。勝手に来て会えなかったというのは責任転嫁にもほどがある。子供の使いでもあるまいし、税金でまかなわれている勤務時間を大事に使ってもらいたい。
エコで環境に優しい施設、札幌市はお手本にしてね。
8月上旬、コンテナハウスを活用した農業体験施設の構想をまとめて、札幌市農業委員会宛てに送付した。
芝農場を無許可で転用したパークゴルフ場の一部を農地に戻し、希望者を募って農業体験をしてもらう。コンテナハウスは休憩施設、短期・長期滞在向けに活用するとして、計画の実施段階になれば年間20棟ペースで建設していくことを伝えた。
脱サラして就農を考えている人、一般的な家庭菜園では飽き足らず広い土地で耕作したい人、それほど畑仕事に時間を割けないが朝もぎ野菜を楽しみたい人などを想定しているが、軌道に乗れば地域に新規就農者を生む可能性もある。
札幌市の酪農団地による被害や時代の流れで離農が進み、手稲前田地区は今やすっかり「名ばかり農振地域」になってしまった。農振のアミをかけられたばかりに、周囲が宅地や商業地となったなかでポツンと取り残され、牧草地のほかは耕作放棄地と違法建築物ばかりの地区になったのだ。
酪農団地が垂れ流す汚水や雨水で芝生産を断念させられた私に言わせれば、何をやろうと札幌市から文句を言われる筋合いはないが、エコで環境に優しい農業体験施設であれば市農委も感謝するほかないだろう。
さて、どんな返答が来るのか…。だが、待てど暮らせど何の音沙汰もないまま8月が終わろうとしていた。
写真=パークゴルフ場の一部を農地に戻し、農業体験コンテナハウスをズラリと並べる予定。
お役所の都合が合わずに協議は延び延びに。
返答が遅れるという電話の後、札幌市農業委員会と札幌市農政課の連名で文書(9月30日付け)が送られてきたのは10月初旬だった。
現時点では農地法違反の状態なので、文書に記載されていない事情や今後の違反是正について、現地の状況を確認しながら話を聞きたいというのだが、指定してきたのが10月6日の14時。その日にコンテナを置いている箇所の現地確認を予定しているので、「ご都合よろしければ現地にご足労いただきますようお願いいたします。」という。
言葉はいやに丁寧だが、こっちの都合などそっちのけの傲慢さは相変わらず。あいにく当日は旅行の予定が入っていて「ご都合よろしくない」のだった。8月に送った文書に「地域の開発・振興・整備は私だけの問題ではないので、然るべき対応をするというなら地域の地主会が対応すべき」と書いたこともあり、日程調整は手稲前田地区連合地主会の事務局長に任せようとも考えたが、とりあえず日時を何パターンか指定してもらうことにした。